先輩は、昨日こそ私が安心できるように、『好きだから』って言ってくれたんだ。
それを疑う気はないのに。
困らせたいと思ってる。
私のことが好きな先輩を、困らせたいと思ってる。
心の片隅で、振り回したいって、....思ってる。
我慢しろ、押さえろ馬鹿。
こんな子供っぽい感情、消えろ!
「あ。汐見くん、彼女来てるよ」
ガラララ....と、静かにドアが開かれる音がした。
私の横にあるドアじゃなくて、もうひとつのドア。
鞄を持った榎本先輩は私に気づくと、振り返って教室の中にいる汐見先輩に声をかける。
目があって、微笑まれた。
その魅力的な笑みに、ドキーンとする。
慌ててペコペコとお辞儀した。
彼女はヒラヒラと私に手を振って、立ち去っていった。



