キミじゃなきゃダメなんだ



迷惑かけられて、それでいいってどういうことだ。

さっき先輩、すっごい怒ってたじゃん。

『もういい』って言ってたじゃん。


良くないよ、絶対良くないよ。


「で...でも先輩、さっき面倒くさいって」

「もうそれ忘れて。ややこしくなりそう」

「わ、忘れません!」

「.....極論を言うと、いくら面倒くさくても別に構わない。いいよ、そのまんまで。変わらなくていい」

「.........」


なんで。

なんで、そんなに。


いつも思っていたけど、具体的な疑問として出てこなかった思いが、むくむくと大きくなる。

なんで、なんでって。


私、今まで何度も思った。

深く考えなかっただけで。


「....せん、ぱいは」


今日、彼に言われた言葉を思い出した。


『君にお願いされたらたぶん僕は断れないし、なんでもすると思う』


....ねえ、なんで。



「なんでそんなに、なんでも受け入れてくれるんですか」



声が震えたのは、身体が冷たいからじゃない。

涙がこぼれそうになって、苦しかった。

そんな私を見て、先輩は少し驚いたように目を見開く。