キミじゃなきゃダメなんだ



「め、めんどくさくてごめんなさい....!でも言っていただけないとわからないんです!」

「.....ほんとにわかんないの....?」

「わかんないです!!...あの、えーと、お化け屋敷でのことは、その、いきなりのことでパニックになっちゃったと言いますか、決して嫌だったわけではなくてですね」

「.......」


もはや土下座の体勢で言っているから、先輩の顔が見えないけど。

ぽたりと、乾ききってない髪の毛から滴が落ちる。


とりあえず私の気持ちを言おう。

直球ではまだ言えないけど、とにかく『先輩と話せなくなるのはマジで嫌』なことは言おう!


「い、今の関係でするのは、その、だめだって思って!流されにくい面倒な奴で本当にごめんなさい!あと、えーと、」

「....いいよ、もう」

「い、言わせて下さい!謝らせて下さい!あ、あとですね、あのとき勢いで抱きついてごめんなさい!もう怖すぎて訳わかんなくなっちゃって、でも先輩が頭撫でてくれるから安心して調子に乗っちゃって!服もちょっと濡らしてごめんなさい!!」

「.......ふっ」


....え?

微かに聞こえた気がする笑い声に驚いて、顔を上げる。


見えた先輩は、肩を震わせて笑っていた。


....え。