キミじゃなきゃダメなんだ




『マル。お前さ、女子たちのいじめやめさせたってマジ?』


そんな言葉から始まった会話だった。

私はなんの気なしに、『うん』と答えて。

あいつの気まずそうな表情にも、気づかなかった。


『....そーなんだ。すげえな、お前』

『そう?自分に正直に生きてるだけだよー』

『すげえよ、ほんと。.....でも、正直すぎて、ちょっと、怖いな』

『え?』


ボソリと呟かれたその言葉が、たぶん本音だったんだろう。

苦笑いして、あいつは言った。



『俺、お前のそういうとこ、苦手だわ』



今思えば、あいつはあいつなりに、言葉を選んで言ってくれていた。

ああ言ってくれたこと自体、すごいことだともわかる。

あんな風に正面から言ってくれるひとは、なかなかいない。