キミじゃなきゃダメなんだ



中学二年の夏。


クラスの女子たちの間でいじめが起きていて、当然私はそんなものを見逃すことはできなくて。


いじめられていた女の子に声をかけ、いじめていた人達を糾弾し、先生に相談した。


誰もが見てみぬフリをしていた中で、そんな私の行動はすぐに学年中に広まった。

こういうとき、周りの人は決して『すごいね』と手を叩いて、私を褒めたりはしない。


『あの子が先生にチクったんだ』と、『流れに逆らったんだ』と、そういう目で私を見る。


だけどその頃には、私もそんなものにすっかり慣れきっていて。

そういう目で私を見る友達は、既に私から離れていた。


その頃からだ。

里菜とチョコちゃんと出会ったのは。


あのふたりは、私をそういう目で見たりもせず、褒めたりもしなかった。だから一緒にいて楽だった。


そして私の噂は、当然男子たちの間でも広まっていた。

当時隣のクラスだった、私が密かに片想いをしていた男子の耳にも。