でも結局私は、先輩に『もういい』と言わせた。
全部諦めたような声で、言わせた。
ダメだったってことだ。
必死に間違えないようにって、考えてたはずなのに。
もうあのひとを傷つけたくないって、思ったはずなのに。
「お疲れさまでしたー」
明るいお姉さんの声も、今は鬱陶しいとさえ思った。
ずっと暗い場所にいたからか、夕方の外でも眩しく感じる。
先輩の背中は一メートルくらい先にあって、気持ちが沈んだ。
仕方なく早足で歩いて、すぐ後ろまで追い付く。
そこから隣に並ぶ勇気は、出なかった。
....もう、無理なんですか。
友達としても、もう、無理?
『俺、マルのそういうとこ、苦手だわ』
....がっかりしたような、呆れたような。
だけど私を責められないという状況で、あいつが言ったのはそんな言葉だった。



