ううん、心から楽しめたかはわからない。
だっていつも、苦しかった。
私は相手にとって、友達でしかないんだって思ったら、悲しくてたまらなかった。
私は今、先輩に同じことしてる。
先輩と『友達』として付き合って、楽しんでる。
彼はそれでいいって言うけど。
辛い気持ちは、わかるから。
だけど、踏み出せない。
『友達』の場所から、踏み出せない。
だって、今までみんな.......
『俺、マルのそういうとこ、苦手だわ』
記憶の奥底にしまっていた声が、ふとよみがえった。
「..........」
...ああ、そっか。
だから私は、怖いんだ。
「.....百合?」
突然黙りこんだ私に、先輩が心配そうに声をかける。
ハッとして、慌てて「な、なんですか?」と取り繕った。



