キミじゃなきゃダメなんだ



「.....ふぅん」


...短い返事。

やばい、お腹痛くなってきた。

今日の最初の方の先輩だったら、たぶんこの一言じゃ終わらなかっただろう。


...先輩はさっきから、全然笑ってくれない。



「....せ、先輩は....?」

「あると思う?」

「で、でも、誘われたことは何度もありますよね?」

「まあね」


それを彼は、頑なに断ってきた。

そんなひとが、誘ってくれた今日のデート。

...絶対、嫌な気持ちにさせたまま、終わらせたくないと思った。


「でも、誰かと付き合ったことはないんでしょ?」

「はい」

「じゃあ友達として?ふたりで?」

「...そう、ですね」


本当に、友達として、だ。


....私からしたら、違ったけど。


相手にとっては本当に、男友達と遊びに出掛けるようなものだったんだろう。


はじめから終わりまで、『楽しい』だけだった。