「.........」


....あ、待って。

ちょっと待ってお父さん。


私の隣のイケメンの機嫌も直してから、去っていただけませんでしょうか?


二度も言葉を遮られた先輩の沈黙が怖い。

無理だ、先輩の方向けないんだけど。どうしたらいいんだ。


しかも、一度目に子供に遮られたのは、たぶん今までの先輩の口説き文句でいちばんか二番目くらい直球なやつだった。

もし聞いていたら、どう反応すればいいかわからなくなっていただろうけど。

だからむしろ遮ってくれてよかったかもしれない、が。


待って怖い。どうしたらいいの。


それにさっきの言葉、彼は結構勇気を振り絞った様子だった。

それだけに、遮られた代償はでかかったようだ。イケメンの本気の不機嫌という代償。どうしよ、恋愛に不慣れな女には荷が重い。


どうにか沈黙を破ろうと、とりあえず口を開いた。


「......えっ、と」

「百合。右足、血が出てる」

「うそっ!?」


急いで下を向くと、右足の膝からじんわりと血がにじんでいた。