キミじゃなきゃダメなんだ



「そうですねえ、あと一時間くらいアトラクション乗るのはどうですか」

「そのあと、また店に寄るんだよね?じゃあ電車は五時の最初か。百合の家、門限とかある?」

「ないですよー。ちょっと遅くなっても大丈夫です」


チョコちゃんと里菜と三人で出掛けるときは、普通に七時台の電車に乗ったりするし。今の世の中そんなもんだろう。


「ふーん。まぁでも心配だし、帰りは送るよ」

「えっ、家まで?」

「当たり前」

「いやいや悪いですよ!全然平気です。夜道に襲われるような外見してませんし」


先輩の最寄り駅は、私が降りる駅のひとつ前だ。

だからわざわざ、私の最寄りで降りてもらうのは申し訳ない。


必死に首を横に振っていると、彼は不機嫌を通り越して呆れたような顔をした。


繋いでいる手に力が込められて、少し驚く。

彼が立ち止まって、それからじっと見つめられて。

心臓が、跳び跳ねた。