「あ」
雑貨のコーナーを見ていたら、何故か猫耳のカチューシャを見つけた。
あー、なんだっけこれ。
園内を回っていて、何度か見たキャラクターの猫耳だ。名前とか全然覚えてないところがさすが私。
でも可愛い。黒で余計な装飾がついてないのもまた.....
「..........」
なんとなく手にとって、後ろを向く。
先輩は店内を眺めながら、私の後ろをゆっくり歩いてきている。
私は猫耳を後ろにさりげなく隠して、「先輩」と彼を呼んだ。
「何?」
「ちょっと屈んでもらえますか?」
言うと、先輩は不思議そうな顔をしながらも、私の目線まで屈んでくれた。
おもむろに猫耳を取り出して、何かを言われる前に彼の頭に着けた。
「.....ふっ、ふふ、あはは」
待って、似合う。なんだろう、素直に懐いてくれない黒猫って感じだ。
「ちょっと今何着けたの....おい」
私が笑ってる間に、先輩は自分でとってしまった。何気に『おい』とか言っちゃったよこの人。ああー。



