キミじゃなきゃダメなんだ



限定ショップだから、店内はあんまり広くないんだけど。


至るところにビター君があって、テンションが上がりまくった。


「嬉しそうだね」


先輩そっちのけでビター君のぬいぐるみに食いついていると、頭上から小さな笑い声がする。


顔をそらして見上げると、先輩がちょうど私の後ろから手元をのぞきこんでいた。


「嬉しいですよ。一緒に来てくれて、ありがとうございます」

「どーいたしまして」


先輩はひょいっと私の手からぬいぐるみを持ち上げた。

「ふーん」と言いながら、ぬいぐるみを眺める。


「百合ってさぁ、趣味変わってるよね」

「えー、ビター君はかわいいですよ。ちょっと理解されにくいけど」

「うん。パッと見て魅力を感じない」

「ほら、ここ!このリーゼントの角度ですよ!あとこの微妙なキメ顔!養ってあげたくなりますね!」

「養いたいの....?百合が男前過ぎてびっくりだよ....」


えへへ。やだなぁ、男前なんて。そんなに褒めないで下さいよ照れる~。