キミじゃなきゃダメなんだ



「先輩の誕生日っていつですか?」

「八月十七日」

「な、夏生まれ!?」


まさかの真夏!意外だ!!


でもインパクトでかくて覚えたぞ。八月。八月十七。来年はお祝いしよう。

そうなんですね、と無難な返事をしてから、さりげなく尋ねた。


「じゃあ、丸岡百合の誕生日は?」

「五月いつ.....」


か、と言いかけて、先輩が固まる。

彼の目はまだスマホに向かっているけど、顔はやらかしたという感じ。うん、そろそろ盛大にニヤけてもいいよね?


笑いそうになるのを必死にこらえたけど、肩が震えてしまってあまり意味がなかった。


「し、知っててくれて、ありがとうございます」

「....そんなにこらえるくらいなら、いっそ笑いなよ....」

「ふ、あはは。ごめんなさい、ふと気になっちゃって」

「....別にいいけどさ....君が気持ち悪いって思わないなら」

「思いませんって」


嬉しいよね、普通に。

一体どこを経由して知ったのかちょっと気になるけど、あえて訊かないでおく。

なんだかなぁ、このひと。



ほんと、困っちゃうくらい愛しいなぁ。