キミじゃなきゃダメなんだ



メロンソーダを飲みながら、なんとなく先輩を眺める。

彼は、飲み物を持っている手と反対の手で、スマホを操作している。絵になるなぁおい。


彼の視線がスマホに向かっているのをいいことに、こっそりとガン見した。

そこらへんの芸能人とかと、引けをとらない整った顔立ち。

絶対スカウトとかされたことありそう。冷たくあしらってそうだけど。


ううむ。そんなハイスペックなお方なのに、いつから私のこと好きなんだろう。


先輩は二年生だから、教室のある階が違うし、今だってなかなか出会わない。

それなのに私がメロンソーダ好きだとわかるくらいには、私のことを遠くから見ててくれてたってことで。


....あーー、やばいニヤけそう。耐えなければ。


好きな自販機の飲み物知られてるってことは、私の誕生日とか知ってるのかな。そういえば言ったことないな。


「先輩」

「なに?」


先輩はスマホから目を離さずに返事をする。その方が訊きやすいからありがたい。