キミじゃなきゃダメなんだ



「私、先輩の前で飲んだこと、ありましたっけ.....」

「....ない....と思います.....」


もはや敬語だ。

消え入るような声と、そのすべてを諦めたような青ざめた顔が面白くて、思わず笑いそうになった。あぶねえ。


「....えっと」

「........」


そんな先輩に、やっぱりスルーすればよかったと思ったけど、もう遅い。


何か気の利いたことを言おうと頭を巡らせたけど、残念ながら私もそれなりに動揺していた。

そんな中思い出してしまったのは、いつかの先輩の言葉。



『.....ずっと、見てた。電車の中で、君のこと』



そして出てきた言葉は、さらに先輩の顔を青ざめさせた。



「.....先輩って、ほんとに私のこと、よく見てるんですね.....」

「................」



しまったーー!!

図らずも先輩に一万のダメージーー!


「ああああ今のは!違うんですごめんなさいそういう意味じゃなくて!!」

「いや....いいよ....事実だし...」


ウワー!!

先輩のHPを極限まで削ってしまったー!

久しぶりにやらかしたー!

先輩は飲み物にも手をつけずに頭を抱えている。ああああ。