体育祭の時に見た、あの無邪気な笑顔を思い出して、胸がギューッとなった。
.....私だけのものに、できたらいいのに。
あの笑顔を、この先もずーっと、私だけに向けてくれたら。
そう、思ってしまった。
私は確かにあのとき、そう思ったんだ。
「..........」
これは、もう。
ハッキリするとかしないとか、そんな問題じゃないな。
結論出てんじゃん。
わかってるんだから、早く言わなきゃいけないのに。
いけないのに、なぁ.......
「......大丈夫?」
頭上から降ってきた声に、慌ててガバリと頭を上げた。
目が合った先輩は、心なしか不安そうな顔をしている。まずい。
「だ、大丈夫です!」
「....具合悪い?」
「いいえ全然!このくらいじゃへこたれませんよ!」
「.....僕が嫌になった...?」
なんでそーなる!?
両手にジュースを持った先輩は、まるで捨てられた子犬みたいな目で私を見ている。



