キミじゃなきゃダメなんだ



私が眉を寄せて先輩を見上げると、彼は自嘲するように小さく笑った。


「...高校生活に、なんの興味も持てなかったんだよ。面白いことなんてひとつもなかった。それなりに勉強してれば成績は良いし、交遊関係は広い方じゃないけど、中学から諒がいたから困ることがなかった」


歩きながら、先輩が静かに話す。

私はその言葉を聞きながら、保健室の先生の話を思い出していた。



ーー『汐見くんね、最近明るいのよ。前まではとことん無気力で、つまんなそーに日々を過ごしてるって感じだったのに』



....ほんとに、そうだったんだ。



「.........」

「でも電車の中で君を見つけて、あんなに強くてまっすぐな女の子がいるんだと思って、興味がわいて。....君は学校で見かける度に笑ってて、楽しそうだった。君を見てるだけで、なんとなく僕も明るくなれた」


先輩は、いとおしそうに目を細めて、私を見下ろす。

慈しむようなその優しい声が、私の耳奥を撫でた。