キミじゃなきゃダメなんだ



「す....す、みません....?」

「........」


先輩の顔はまだ怒ってるけど。

まともに顔が見れない。


だってニヤケそう!なんで!?


嬉しいって思っちゃうの、なんで?


滅多に口説かれないからか?いやそれこそもう慣れてきたよ!

先輩級のイケメンにこうも日常的に口説かれてると、街でナンパとかに遭っても動揺しない自信がついてくる。これがイケメン耐性!すごい!

いやそうじゃなくて。


「...........」


...嬉しいって、思うのは。



私も、先輩のことが.....



「百合、駅に着いたよ」


落ち着いた声が上から降ってきて、ハッとする。


「あ、は、ハイ」


先輩に手を引かれて、電車を降りる。


ちらりと彼を見上げて、ホントに格好いいなぁと目を細めた。

周りの女性も一度は先輩を振り返るし、その中にはすごく可愛い人もいるし。


先輩、ほんとに私でいいのかな。


たいして可愛くないし、なんかアホだし。

今はもう前ほど不安にはならないけど、やっぱりちょっと思ってしまう。