キミじゃなきゃダメなんだ



前にいるのは、三人。

抜かせない、ほどの距離じゃない。


...てゆーか、一番前を走ってるの、私に水ぶっかけてきたあの先輩じゃねーか!

一気に怒りが湧いてきて、私は唇を噛むと、ぐっと足に力を込めた。



.....見せてやる。

丸岡百合の本気をーーー!!



「オラーー!!」


全力、全速力で足を動かす。


....それからの私は、たぶんスゴかった。色々。


目指せごぼう抜き、とか冗談混じりに言ったけど、ほんとにやれると思わなかった。


あのムカつく美人の先輩を抜かしたときは、すさまじく爽快だった。

まさかこんな形で仕返しできるとは。体育祭最高。



「っあとは任せた、児玉くん!!」

「よくやった丸岡!任せろ!!」


一位を奪い返して、児玉くんにバトンを渡す。


はぁはぁと息をついて、待機列に戻る。

反対側の待機列から理子ちゃんが走ってきて、泣きながら抱き締められた。