キミじゃなきゃダメなんだ



ふーふーと深呼吸をしてから、第一コースで理子ちゃんを待つ。

理子ちゃんの後ろには、一位奪還を狙う他のクラスの選手たちが後を追いかけてきていて、うぎゃーー。


「理子ちゃーーん!」


叫んで、理子ちゃんを見る。

私のところまであと二十メートル...というところで。


ーーあ。


「理子ちゃん!」


ドサっ.....

理子ちゃんがつまずいて、そのまま前のめりに倒れた。


その間に他の選手たちが彼女を抜かしていく。

理子ちゃんが立ち上がったのと同時に、私の横をひとりの選手が通りすぎていった。



「......っ、マル、ごめん!」


理子ちゃんが痛々しく血が出た足をひきずって、泣きそうな顔でバトンを差し出す。


私は「大丈夫」といって受けとると、駆け出した。