キミじゃなきゃダメなんだ



「いーよ、なんでも。ちゃんと見てるから、好きなように走ってきなよ」



....う。

細められた瞳に、ドキリとする。


彼の後ろにいる松原先輩がニヤニヤして、他の二年生ふたりが「汐見がデレてる」「やべえもん見た」とか言ってるのは無視することにした。


「行ってきます」


もう一度言って、私はリレーの列へ走っていった。







私は、第五走者だ。

最初に女子が五人走って、そのあと男子が五人走る。


所定の位置につくと、ドキドキしながら第一走者のスタートのピストルが鳴るのを待った。


ーーパァン。

一際大きな音が鳴って、第一走者の女子たちが走り始める。


このリレーに出るのは、一年が二組、二年が一組、三年が二組だ。


「頑張れ~!」


私の前に並んでる第三走者の女子と、力一杯応援する。