キミじゃなきゃダメなんだ



「あ、あはは。ありがと~、助かったよー!」


お礼を言って、児玉くんから鉄の棒を受け取ろうとする。

だけど、彼は手を離さなかった。


「こんなの、女子がひとりで持つもんじゃねえって。手伝うよ」

「...あ、ありがとう」


女子扱いされると緊張するんですけど。

でもなんだか、前みたいにドキドキはしないな。

なんでだろう。


....たぶん、今は、汐見先輩がいるからだ。



「偶然、でけー棒持ってフラフラしてる丸岡見かけてさぁ、急いで来たよ」



今度は私が前、児玉くんが後ろの方を持って倉庫に向かう。

女子二人だったさっきに比べると安定感があって、さすがだなーと思った。


「いやー、いけると思ったんだけどねえ。途中でつまずいちゃって」


児玉くんは、爽やかな短髪が似合うスポーツマンだ。

テニス部所属で、早くも女子の中で彼のファンが増えているらしい。