「ご、ごめんね。本当にありがとう。じゃあ、お願いします」
「ほーい。頑張ってね!」
「うん。行ってきます」
いってらっしゃーい、と手を振って、走り去る本田さんを見送る。
ひとりになって息をつくと、再び棒を持ち上げた。
「よい、しょ」
あー、結構重たいな。
誰かに頼むとは言ったけど、実際近くに知り合いがいないんだよな。
ひとりで行けるかな。
どうかな。行けるんじゃないかな。行けるよね。よし行ける。
ひとりで結論付けて、棒の中間辺りを持ち上げる。
よいしょーと肩に乗せて、バランスを取りながら歩き始めた。
...あれ?行けるんじゃね?
やばい、私は今女子らしからぬ怪力を発揮してないか?
あっ今さらか。そうだよな。



