「....あ....終わっちゃった....」
本田さんがそう呟くと、その顔に焦りが浮かんだ。
「....終わっちゃまずいの?あ、さっきの競技が見たかったとか?」
「ううん....あの、私、次の障害物競争に出ることになってて」
「あら。じゃあ並ばなきゃだね」
ピタリと足を止めると、本田さんが『でも』という顔をした。
「だーいじょうぶ。これは私が責任もって持っていくよ」
「で、でも悪いよ。私が頼まれたやつだし、これ、重いし」
「適当に、その辺の人に声かけて手伝ってもらうよ。だから早く行きな~」
早く行かなきゃ、障害物競争に出る人たちに迷惑がかかるよ。
そう言うと、本田さんが「そうだよね...」と渋々受け入れてくれた。



