キミじゃなきゃダメなんだ



ふたりで運んでいるとはいえ、肩に重みがずっしりとくる。

こりゃーフラフラしちゃうわけだよ。


「んもー。こんなに重たいもの、女の子が一人で運んじゃダメだよー?危ないよー」

「そ、そうだよね、ごめんね....」

「...あ、違うの、ごめん。謝らなくていいの。ただ、本田さんはひとりでなんでもしちゃおうとするから、心配なんだよ」


面倒くさい仕事も大体引き受けちゃうし、それをひとりでこなしちゃうし。


本田さんが有能なのはわかるんだけど、いつかキャパオーバーしちゃわないか、気が気じゃないよ。


そう言うと、本田さんは驚いた顔をしてこっちへ振り返った。


「....? どうしたの」

「う、ううん.....ちょっとびっくりして....心配してくれて、ありがとう」


照れたように、嬉しそうにはにかむ姿がかわいい。

思わず和んでいると、競技が行われているグラウンドの中心から、笛の音が聞こえた。


さっきの競技が終わったみたいだ。