「あ、ありがとう、丸岡さん....」
「ううん。それより大変だね、こんなに重たいもの一人で...」
私が思わず席を立って、校舎のそばのこの場所まで来てしまったのは。
本田さんが、この重たい鉄の棒を抱えてフラフラしていたのが見えたからだ。
「これ、どこかに運ぶの?係の仕事?」
見たところ、テントの設営とかに使う機材っぽいけど。
「う、うん。頼まれちゃって...向こうの体育倉庫まで運ぶの」
相変わらずえらいなぁ、本田さん。
ふんふんと頷きながら、鉄棒を抱え直す。
前の方を本田さん、後ろの方を私が肩に担くと、彼女は困惑した顔をした。
「え、あ、あの、丸岡さん...」
「いーのいーの、最初から手伝いに来たから。さぁー進んで進んで」
れっつごー、と体育倉庫の方を指差すと、本田さんは「ありがとう」と何度も言って、歩き始めた。



