やりますよ、やっちゃいますよマルさん。
私はアンカーじゃないし、めちゃくちゃ足が速いわけでもないけど。
全力で走るよ!!
*
お昼の時間が終わって、午後の競技が始まった。
私が出る競技はもうリレーだけだから、それまでは応援役だ。
「がんばれー!」
他の学年の競技を生徒席で見ながら、皆と声を出して応援する。
そして、ふと目を向けた先に本田さんの小さな背中を見かけて、私は席を立った。
「ほーんださん」
近くに来て声をかけると、本田さんは大きく肩を跳ねて驚いた。
その拍子に、彼女が抱えていた長ーくて太い鉄の棒がぐらぐらと揺れる。
「う、わ、わわっ」
「ぎゃー危ない危ない!」
棒が下に落ちる寸前で、私の手が受け止めた。
ふたりで思わず、ふぅ、とため息をつく。



