キミじゃなきゃダメなんだ



やりますよ、やっちゃいますよマルさん。


私はアンカーじゃないし、めちゃくちゃ足が速いわけでもないけど。

全力で走るよ!!






お昼の時間が終わって、午後の競技が始まった。


私が出る競技はもうリレーだけだから、それまでは応援役だ。


「がんばれー!」


他の学年の競技を生徒席で見ながら、皆と声を出して応援する。

そして、ふと目を向けた先に本田さんの小さな背中を見かけて、私は席を立った。




「ほーんださん」


近くに来て声をかけると、本田さんは大きく肩を跳ねて驚いた。

その拍子に、彼女が抱えていた長ーくて太い鉄の棒がぐらぐらと揺れる。



「う、わ、わわっ」

「ぎゃー危ない危ない!」



棒が下に落ちる寸前で、私の手が受け止めた。

ふたりで思わず、ふぅ、とため息をつく。