生徒席で見てたら、汐見先輩の順番が来た瞬間、周りの女子達が騒ぎ始めたから。
応援っていうよりアイドルのライブに来たファンみたいな歓声だった。すさまじかった。絶対私の声なんか聞こえてない。
でも、私なりに頑張って声出したもんね。
こういうのは聞こえてるかじゃなくて、とりあえず声に出すことが大事だよね!
そう思ってニコニコしていると、先輩は一度ちらりと私の顔を見てから、「ん」とまた微かに笑った。
....これもまた、無自覚なんですか?
「ありがと。...体育祭で一位とか初めてとったよ。頑張ってみるもんだね?」
そう言うと、彼は再び私を見つめる。
その視線は、なんだか意味ありげで。
...え、えと、それは、えーと、そういう意味、ですか。
「.....」
「....ねえ。今僕が言ったの、意味わかった?」
「えっ!?あ、ええと、う、自惚れでなければ、たぶん....!?」
私はたぶん、鈍感だとか無自覚だとか、そういう少女漫画のヒロインみたいな性質は持ち合わせてないんだと思う。
普通に察してしまえるし、だからこそこういうとき恥ずかしい。え、ほんとに自惚れじゃないですよね?



