キミじゃなきゃダメなんだ



この先輩のお気持ちは、察するけどさ。

私なんかに負けた、ていうのが悔しいのも、わかるけどさぁ。


「...そんなの、私に訊かれても困ります。汐見先輩に直接聞いてください」

「聞けるわけないじゃない。馬鹿なの?」

「.....」


カッチーン。

なんだこの先輩。綺麗だけどムカつく。めっちゃ綺麗だけどムカつく!


「....汐見先輩と仲良くなりたいんだったら、めげずに話しかければいいじゃないですか。私なんかにつっかかるより、よっぽど簡単なことだと思いますけど」


割と正直な発言をしてしまった。

すると、美しい先輩の顔が、一瞬にして般若に変わる。血の気が引いた。


ウヒィー!やべえ殺される!


死を覚悟したとき、昼休みの終わりのチャイムが鳴り響いた。


怒鳴ろうとしていたのか、開きかけた先輩の口が、再び閉じる。