「なんで…。」


「え?」


「なんで私の名字を知ってるんですか?」


女の人が"ハッ"とした。

ジーッと見れば妖艶に笑って


「バレた?」


そう言った。

ゆっくり携帯に手を伸ばす。


「あぁ。連絡しようとか思っちゃ駄目よ?あなたの大事な友達が怪我するわよ?」


手が止まる。


「赤貝…今は会津だったかしら?舞邪って子。妊娠してるんでしょう?安定期だからって油断しちゃ駄目よって言わなきゃいけなくなるわよ?」


赤い口紅を塗った唇を指で触りながら、そう言う女の人。