「さ、く…?」 私のことを “ちあ” と呼ぶ人は一人しかいない。 「それ重そうだから手伝うよ。ほら、早く運ぼ」 ぶっきらぼうな、それでも柔らかな言い方で半分より少し多めに冊子を持ってくれる。 そのまま歩いて行く朔に、私も慌ててついて行った。 これが、彼の小さな優しさ。 持ってくれた多めの冊子と、もうひとつ。