私が帽子を被ったのを確認すると、朔は私の右手に自分の左手を重ねてきた。 突然の出来事に、私の頭の中ではプチパニック状態。 「何って、恋人ごっこ。流石に手繋いでたら女共も声かけてこねーだろ」 そんな私とは裏腹に、冷静にそんなことを言ってのけるのは学校一のモテ王子。 「だからって私が帽子被る必要……」 「お前、彼氏と別れたばっかじゃん。なのに別の男と歩いてるの学校の奴に見られたら面倒だろ」 「………」 その言葉に、あ、って思った。 その時わかったんだ。 これは、彼の優しさだって。