「あ、その…ごめんなさい…」 ハッとしてからではもう遅い。 「もういいよ。悪かった」 そう言って朔は背中を向けてしまった。 そしてそのまま部屋を出て行こうとする。 「ま、待って!」 それを、特に何も考えずに、無意識に、彼の腕を掴んで止めていた。 「や、あ、その…」 止めたのはいいけど、何を言えばいいのか思いつかずにオドオドしてしまう情けない自分。 なんか、本当に嫌だ、こんな自分。 「何?」 さっきとは違って、少し柔らかい朔の声が聞こえたのはそんな時だった。