一瞬だったはずなのに、時間が止まったみたいにゆっくりに感じる。




「…な?こういうことだよ」



唇を離した朔はそう言った。





な、な…っ。


余りにも不意打ちで、上手く言葉が出ない。




「顔真っ赤」

「う、うるさい…っ!」


そのくせ、意地悪に笑われると反射的に返しはできた。




「ちあが悪いんだからな?これからは言動に気をつける事。じゃないと、俺に襲われるぞ」

「〜〜〜っ!」


こ、この人…こんなこと言う人だったっけ。





目の前には、凄く意地悪に笑う朔の姿。





かと思えば急に真面目な顔になって。



「好きだよ、ちあ。自分でもバカだと思うくらいにね」


なんて言ってくるものだから、私の頭と心は全く追いついてくれなかった。