弦はこの社長さんの作品に惚れこんで就職したんだよね
私はそれで一度弦と別れたんだよね・・・
その割に何だか2人って仲がいいのか悪いのか・・・
首をかしげたくなる気持ちを押さえとりあえず
須田さんを新居へと案内した。

須田さんは家の中にはいると急に職人の顔になった。
その顔はキラキラしていて
さっきのチャラさはなくなっていた。
スケールとメモをもっていろんなところを測っていた。
そして弦もさっきまでの仏頂面はどこへやら
須田さんの仕事を満足げに見ている。

「ねぇ・・・」
「何?」
「なんでさっきあんなに不機嫌そうにしてたの?」
私の質問に弦はバツの悪そうな顔をして横を向いてしまった。
「ねぇ!何で?」
「・・・須田さんってかっこいいだろ?男の俺でもかっこいいと思う。
しかも人懐っこくてさ・・・だから正直会わせたくなかったんだよ」
言ってる意味がよくわからなかった。
「んー。たしかにかっこいいし、人懐っこいというよりは軽い?」
「だから・・・お前が須田さんを気に入っちゃうんじゃないかって
・・・心配で・・」
「え?」
それってもしかしてやきもち?
っていうか何で私が須田さんを好きにならなきゃいけないのかわからん。