あ~~~緊張する。
昨日、弦には偉そうな事言ったけど
いざ自分の番となると口から心臓が出そうな気分だ。
「おい・・・」
あ~~もしダメなんて言われたら私、天の岩戸にで隠れちゃおうかしら
う~~なんかネガティブになってるよ。
「お~い。千鶴」
「は?」
「は?じゃねぇよ。昨日は俺に対して立派な言葉をくれたのに。
 困るな~~そんなんじゃ~俺の奥さんにはなれないよ」
「え?!なれないの???」
弦は立ち止まると私に向ってでこピンをしてきた。
「いった~~~!!!」
「ばーか。・・んなわけないだろが!」
「今頃になって弦の気持ちがわかったよ。胃が痛いです」
そんな私を見て弦は私の手を握った。
「大丈夫だって。今頃きっと首をなが~くして待ってると思うよ。
だからそんながっちがちな顔しないで、昔の様にこんにちは~~って
入っていけよ」
弦は、にかっと笑うと私の手を強く握り歩く速度をはやめた。


「ただいま~~」
弦の声に部屋の奥からパタパタと音を立ててやってきたのは
弦のお母さんだった。
「千鶴ちゃん。お久しぶりね~~。ちょっと見ないうちに綺麗になって~~」
弦のお母さんは凄くおしゃべりが好きで話しだしたら止まらない。
「その話ここじゃなくてもいいよね・・・母さん話し出したら止まらねーし」
弦は淡々と言うが、お母さんはにこにこしながらも
「あら、やだ~私ったら・・・さー上がって頂戴。お父さんも
千鶴ちゃんの事待ってるから」
靴を脱いで家に上がろうとすると弦が
「緊張なんてどっかいったろ?あのハイテンションがずっと
続くんだぞ」
少しげんなりした表情は息子だからするのであって
この家に嫁ぐ予定の私にはこんな歓迎されただけで
うれしくなる。