人魚姫



ガタッと椅子から立ち

「センセー、海ちゃんが体調悪そうなんで保健室連れていっきまーす!」

岬海の腕を引っ張り教室から出て、屋上へ向かう

「ちょ、藤堂君!?」

焦った声も無視して目的地へ

バンッ

フワッと夏の空気に包まれる

潮の香りが漂う中、唯一の影があるとこに腰を下ろす

「海ちゃんも、こっち来なよ」

トントンと、隣を指すと静かに座った

「海ちゃんさー、他人に興味ないよねー」

ふっと、本音を漏らすと

「まぁね。てか、藤堂君こそあたしに構って楽しい?」

「さー、でも」

そこで、一息つき

「海ちゃんに、少なくとも俺は興味あるよ」

そう言った瞬間、今まで何があっても揺れなかった瞳が揺れた