「隼斗くん…だめだよ。」
身をよじってみても、その力強い腕から逃れられない。
「俺ならずっと一緒にいる。」
「・・・っ。」
耳元で囁かれたその言葉は、ずっと心のどこかで求めていたそのものだった。
「佐和さん…」
「隼斗くん…」
初めてかもしれない。
こんなに胸の奥を焦がしてしまうんじゃないかってくらい熱い気持ちになったのなんて。
2人はお風呂から出ると、電気もつけないまま寝室のベットへと沈んだ。
彼は…隼斗くんは私を抱こうとはしなかった。
濡れた髪をタオルで拭いてくれた。
そして同じ入浴剤の匂いを感じながら、優しくそっと腕に包み込んでくれた。
隼斗くんの今までの気持ちを全て聞いた。
「佐和さんのこと、
諦めるようにして日本を離れたんです。」
「そうだったの…?」
「でも、離れたからって簡単に諦められるほど軽い気持ちじゃなかった。」
彼はそこまで言うと、抱き締めたまま私の首筋にキスを落とした。
そして吐息がかかる距離で囁いた。
「佐和さんのこと、ずっと想ってました。」
その言葉がどれだけ私の心をくすぐったか、
きっと誰も分からないだろう。
あれだけ夫との平和な関係を続けようと、怒りと寂しさとを押し込めてきた私が…
今は全然違う私になってる。
「空港で佐和さんの姿が見えた時、俺がどれだけ嬉しかったか分かりますか?」
「どれくらい?」
「あのまま佐和さんを連れて、どこかの国に行ってしまおうって思ったくらい。」
「ふふ、よく分かんないよ。」
何だか分からないけど可笑しくて笑った私。
そんな私に彼は言ったんだ。
「俺はこれから、
ずっと佐和さんと一緒にいたい。
それは、義理の弟としてじゃなくてです。」
私の返事はもう準備ができてる。
でも、もう少し待ってて。
私はその気持ちも込めて、微笑んだ。
そして、そっと触れるだけのキスをひとつ…
彼の微笑んだ唇に落とした。。
*end



