ーーーーーガチャン。。
玄関のドアの閉まる音で、ふと我に帰る。
家についた頃には、私も隼斗くんもびしょ濡れだった。
「佐和さん…さっき…」
落ち着いた…でも、どこか驚きを隠せないでいる声で隼斗くんは私の背中に問いかけた。
「さっき?何のこと?私…何も見てないよ?」
そう言って振り返って笑って見せた。
そうしたところで、私が気づいてない筈ないなんて、バレバレなんだろうけど。
見ると、隼斗くんは何も言わず私を見つめていた。
その表情はどこか悲しげで…どこか怒ってるようで…
「佐和さん、風邪引くといけませんよ。
お風呂ためますから、先入って下さい。」
隼斗くんはそう言って、先に家の中へと入っていった。
暫く玄関に立ち尽くしたまま、私はお風呂のお湯がたまっていく音を聞いていた。
ーーーーこんな日が来るなんて。
ーーーー疑惑が確信へと変わった。
ーーーーずっと気づかない振りが出来てたのに…まさか、見てしまうなんてね。
あの夜みたいに、泣いて泣いて…次の日には知らない振りをして今まで通りの生活を送れるのかな。。



