「この通りにあんなお店あったんだぁ。
美味しかった~。」
「気に入ってもらえて良かったです。」
「私、あーゆう隠れ家的なとこ、大好き♪」
「俺もあの雰囲気が好きで2年前も結構通ってたんですよね。」
「へぇ、私達趣味合うね♪
あの人、結構敷居の高そうな所ばっかりだから、食べた気がしなくてさぁ。」
隼斗くん行きつけの隠れ家的イタリアンのお店での夕御飯の後、歩いての帰り道。
夫の愚痴を軽くこぼしつつ、2人並んで夜の街を歩いていた。
隣を歩く彼は歩くのが遅い私に合わせて、ゆっくりとした歩幅で話しながら歩いてくれた。
兄弟でもこんなに違うんだぁ。
隼斗くんが日本に帰ってきて居候するようになってから、男らしくて頼れる人だと思っていた夫が案外そうじゃないんだと気づいてしまった。
いつもご飯は私が席につくまで待っててくれたり、仕事が早く終わって帰ってきたら必ず何か手伝ってくれたり…
って、ただ居候の身で気を遣ってるだけかもしれないけど…
なんて考えながら歩いていると…
ーーーーーポツ…ポツ…
「あ、雨?」
「ほんとだ。佐和さん、急ぎましょうか。」
「あ、うん………………っ!?」
突然降りだした雨に、歩く足を早めようとした私…でも…



