その瞬間、全てがスローモーションで演じられた。


膝丈程の動き辛そうなスカートで、約1メートルのカウンターを全く無駄の無い動作で跳び越える紗祐里。


その瞳が、瞳の奥に秘められた憤怒の炎が、自分を見据えていた。捉えていた。



半分程空いた自動ドアの間をすり抜けるようにして転がるように外に出る。


もう振り返ることなどしない。全力で走った。