犬系彼女 -飴はブドウ味派- 短編


…と、思っていた。



「――誰に告白すんの?」


「っ!?」



突然聞こえた声に振り向くと、黒澤君がドアの所に立っていた。



「えっ!? 何でいるの!?」



私は慌てて、意味も無く席から立ち上がった。



「忘れ物取りに来ただけ。そっちこそ、一人で何してんの?」


「えっ、と…七海、待ってる…」


「ふーん…」



黒澤君は教室に入り自分の机の中を覗く。

探し物があったらしく、それを鞄にしまいこむ。



「…………」


「…………」



うぅ…沈黙が辛い…

何となく気不味くて俯いていると、突然黒澤君が沈黙を破った。



「…で、誰に告白する気だったんだ?」


「べ、別に…誰だっていいじゃない…」



あなたです、なんて言える訳ないでしょ!



「………」


「…何で聞いたくせに黙るのよ。」



恥ずかしくて目も合わせられない私が言えた事じゃないけどっ!

すると黒澤君は、いつものように少しの間を空けて呟くように言った。



「…いや、わかってたけど…やっぱショックだな…」


「え? なんて言った?」



最後の方は本当に呟いた程度で、うまく聞き取れなかった。