「かずくんおはよう大好き」

「はいはいおはよう」


いつものお決まりあいさつ
大好きの安売りなんて気にしない
私の大好きはいつだって愛がつまってる
ってことにしとく

お隣さんだから学校には一緒に行く。
正確に言うと私が金魚のふんみたいについてくんだけど、そこは触れないで

「あのさ、近い」
「やだ」
「やだじゃねーよ」
「だって寒い」
「うそつけ今5月だろ」
「この時期は冷えることもあるし女の子にはいろいろあるんです」
「真夏はクーラーんなかで腹出してアイスぼりぼり食ってんのはどこの誰かな」
「見てたのえっち」
「俺の部屋にいたよな」
「ほら遅刻するよ」


かずくんちにはよく入り浸ってる。
かずくんの家はほとんど把握してるし、えろ本の隠し場所だって知ってる。

見つけた時は…衝撃でしばらく口がきけなかったけど。
今は広い心で受け止めてる。将来は私が相手になってやるんだから!
かずくんをドキドキさせるなんてちょろいもんや!


...なんて心の中でしか言えない。
こんなの知られたらどんな仕打ちうけるか。
いやいや、仕打ちがあるならまだいい
そのままスルーされて惨めになるほうが大変


「にやけたりしょげたり忙しいな」
「かずくんのこと考えてる」
「頼むから脳内で俺犯すのはやめてよ」
「な!そんなことしないよ!」
「うわ必死さがもう怪し」
「…」
「え、黙るのやめてよガチじゃん」
「いやらしいことじゃないよ!かずくん好きだーって思ってるだけ!」
「へー。そんなにおれがすき?」
「うん!何回も言ってるでしょ!」
「んじゃこんなことしたら死んじゃうね?」


ドンッ。
あ、いわゆるこれ、壁ドンだ
え、え、なにこれなにこれ!かずくんの唇が耳につきそう!
ふーって息かけられる。
「優姫」
色気むんむんの低音ボイスで私の名前をつぶやく

なにやってんのかずくん!ほんとに死んじゃうよ!わたし!男の子免疫全然ないのに!
足に!力はいらない!たすけて!

「ククク。やばおれ犯罪者なっちゃう」
「殺さないで!」
「こんなんで殺されちゃったらおれのこと堕とせないよ?」
ふふふってニヒルな笑み

「堕とすもん!かずくんも余裕こいてるとそのうち痛い目見るんだからね!」
「楽しみにしてるよ優姫ちゃんの本気」


まだまだかずくんには叶わない