「あっれ〜? 渡辺さん、オレらになんか用?」 あたしが後ろにいたことに気づいたのか、 君を囲んで輪になってた人たちが一斉に振り返ってあたしを見てくる。 「え…いや…あの…」 こんなときに君と目があって、かあっと顔が赤くなってしまう。 ダメだ。 私、思ってた以上に臆病だ。 「なっ、なんでもないですっ! ごめんなさいっ!!」 気づけば走り出していた。 無我夢中になって走り出していた。 涙で顔がグチャグチャになって、前が見えない。 ああ、最後だったのに。 最後のチャンスだったのに…