MIRROR

「えーと、えーと！」
もちろんそんな簡単なカミングアウトとは私のはわけが違う。
「なに？このままみんなに無視されたままでいいの？」
沙羅が顔を近づける。
私だってそんなのごめんだ。
でも・・・・
その時お母さんの言葉がまた頭をよぎる。
『あなたの友達なら大丈夫』
・・・・最後にもう一度信じるよ？
お母さん・・・・・・・・

この人達なら信じていいよね？

『私の親は本当の親じゃないの・・・』
私が発した言葉で、みんなは目を見開いていた。
もう引けない・・・！息を大きく吸った。
『本当の親は、・・・・私を・・・コインロッカーに捨てたの・・・』
声が震える。あともうちょっと・・・
『私は、あの雑誌に載ってたみたいな・・・コインロッカーベイビーなの・・・だから！孤児だから‼誕生日は正確には6月16日なんかじゃないと思うし、歳だってみんなより年上かも知れないし、年下かも知れないの！今まで騙してごめんなさい！」

しばらく時間が流れる。
まず言葉を発したのはあの時、雑誌をヒラヒラさせ、怒鳴ってしまった男子だった。
『なんだ、早く言ってくれればよかったのに！そうとは知らずごめんな』
いつもとは違う優しい声。
『大丈夫だよ？私達はそんなことで差別をしないよ？』
あの時司会役をしていたクラス委員の子が笑った。

『つか、美晴は年上だろうが年下だろうが美晴は美晴だよ？』

胸がとくんと、大きく動いた。
私は、最低だ。こんないい人なのに何を心配していたんだろうか？

『ありがとう、みんな‼』

後にホームルームに来た担任が号泣する私達を見て一度逃げてしまった事は言うまでも無いだろうか？