溺愛☆ナイト様


「ち、ちょっと待って!!まだチャックが…」


言ったけど、時すでに遅し。

護衛がこっちを向いている。


「ん?なんだよ、もう大丈夫じゃないですか。ほら、後ろ向いてください」

「えっ、ちょっ…」

肩を捕まれ、クルッと回転させられた。

てか、普通女性の体を勝手に触る?

デリカシーなさすぎだし。


「あーあ、布を噛んじゃってますよ。こうなるんだったら、言えばよかったじゃないですか」

「…アンタに世話をやかれるくらいなら、何時間かけてでも自分でやるわよ」


肩に置かれた手がすごく熱い。


あれ?

違う…。

あたしが熱くなってる…?

「はい、終わりましたよ。それと、俺は“あんた”じゃありません。俺の名前はハル卜です」

「ハルト…?」

「はい。これからはそう呼んでください」

ハルトか。

なんか聞いたことがある名前だな…?

どこで聞いたんだろう?


「意外と似合ってますね。色気がない割に」

「……一言多いのよ、アンタは」