「ち、ちょっと待って!!まだチャックが…」
言ったけど、時すでに遅し。
護衛がこっちを向いている。
「ん?なんだよ、もう大丈夫じゃないですか。ほら、後ろ向いてください」
「えっ、ちょっ…」
肩を捕まれ、クルッと回転させられた。
てか、普通女性の体を勝手に触る?
デリカシーなさすぎだし。
「あーあ、布を噛んじゃってますよ。こうなるんだったら、言えばよかったじゃないですか」
「…アンタに世話をやかれるくらいなら、何時間かけてでも自分でやるわよ」
肩に置かれた手がすごく熱い。
あれ?
違う…。
あたしが熱くなってる…?
「はい、終わりましたよ。それと、俺は“あんた”じゃありません。俺の名前はハル卜です」
「ハルト…?」
「はい。これからはそう呼んでください」
ハルトか。
なんか聞いたことがある名前だな…?
どこで聞いたんだろう?
「意外と似合ってますね。色気がない割に」
「……一言多いのよ、アンタは」


