不意に猫さんの頬が膨れているのが目についた、はじめは、腫れていると思ったのだが引っ込んだりまた出たりを繰り返しているし、暗がりでよく見えなかったが口から突き出た黒い棒の様な影が見えるため何か口に含んでいるのだろう。

紅「猫さん。口に含んでいるのはなんだ?」
なんだか甘い優しい匂いが鼻をくすぐった気がした。

神城「これか、美味いんだ。レッドキャンデー、俺らはそう呼んでいる。食べるか?」
彼は、小さい壺を私に差し出した。
棒がいっぱい突き出している、一つ貰うか。

私は、キャンデーなる物を手に取った、赤い色が光に反射して綺麗だった。

スンスン…

少し匂いがする、何だろう…嗅いだ事のある匂い、ついさっき嗅いだ匂い。

そう、この匂いは…血の匂い、私を包んだあの血の匂いだ。

パクッ

口の中でキャンデーなる物を転がしてみた。

甘い…甘くて少ししょっぱい、これが血の味なんだな。
ゆっくりと味覚を嗅覚を侵していく甘い味と香り。

トローンと蕩け崩れていく感覚…甘く香るキャンデー…私はキャンデーの罠に掛かっていく…甘いキャンデーは多分私が見た死に行く人達の罪の味なのだ…

ふわりふわりと漂う血臭…私の側にいた猫さんはいつの間にか居なくなっていた。

睡魔が私に少しずつ迫っていた…しばらくして私は睡魔に呑み込まれていった…

紅「あま…い…。」