申し訳ありません皆様方、人形師が体調を崩した為、人形劇は中止になりました。

ブーイングの嵐が司会者をおそった。

…皆様お静かに!
まだ最後のショーが残っております。
登場するのは…ここにいらっしゃる皆様と、我が団員による、血みどろの戦いであります。
皆様、存分にご堪能下さいませ?

皆は笑うが、私はどうしても笑えなかった。
射撃は多少できるが、人は打てない、武術に長けているわけでもない。

もし今のが本当に起こるならば、私は死ぬだろう、彼らの芸は使い用によっては殺しの芸に変わるのだ。

私は逃げる場所を探して見渡すが客席の暗がりと、舞台の明るさが邪魔で見つけられなかった。

団員は少なくても、五人以上は居るはずだ。

舞台に目を向けるともうそこには、十数人のサーカス団員、皆爽やかに微笑んでいた。

私はもう諦めて皆に微笑み返した。
皆が一斉に客席へと飛び込み辺りには血臭が漂った、甘い香りに酔いしれるように皆が踊った、演技を続けるかのように…そう、これはショーの一部、皆が踊るショーの一部なんだ、白い衣装を赤く染めるために、甘い香りに酔うために踊る。

楽しいと心から思える。
私が誰に殺されてもいい、このサーカスの団員なら誰に殺されても構わない、それが私の死ぬ前に叶えたい願いだと言ってもいい。

私の周りの人達が流れ出る血で服を染め始めた頃私は前に立つ男性を見上げた。
最初に出たブラッドキャットだ。

「綺麗な、血塗れの猫。あなたにふさわしい名前ですね。」
私がここで初めて口に出した言葉。
最後に残す言葉、あなたは私に終わりをくれると信じる、信じてみた。

でも、私がいくら望んでもあなたは私に終わりをくれなかった、その手が私に振り下ろされなかった。

かわりに私に手を差し出した。
私は呆然としていた、あなたは私の手を取り、私は席から立ち上がった。

「何故、私に終わりをくれなかったのだ。」
私は泣きながら言った。

神城「俺は気まぐれだからさ。君を生かしてみたくなったんだ。」

「私は、あなたに終わりを求めたのにな…。だが私が生きられる道があるなら私は進むだけだ。あなたが私に飽きたならその時は私に終わりをくれ。」