木田「紅、今食事持ってきてやるからな。」
パタパタと別のテントへ走って行くとお盆に何かを乗せて歩いてきた。

木田「はい、紅の分。一緒に食べよー。」
ねーさんはそう言うと白いスープ皿と黒い壺、飲み物の入った冷えたボトル、グラスと小さいお盆によく乗ったなと感心した。

カタッ

ねーさんは黒い壺を取り、スープ皿に中身を流し込んだ。
私のスープ皿にも流し込んでくれた。

真っ赤な温かいスープ、湯気と食欲を誘う匂い。

木田「さ、食べよう。冷めぬうちに、ねっ!」
ねーさんは、スプーンでスープをすくい取り、口に運んだ。

私も食べよう、餓死するほど飢えている。

スプーンですくって食道に流し込んだ。

美味い、体が温まる、冷え切った体に暖かさが戻ってきた。

紅「美味しい、こんな温かいのは食べた事なかった。」
目頭があつくなってきた、生暖かい物が頬を伝って落ちた。

木田「ほわぁ⁈な、え?なんで泣いてるんだ⁉︎」

紅「大丈夫だよ、ねーさん。」
ゴシゴシと目を擦る

神城「目が腫れちまう。ほら、ハンカチ貸してやるからこれでふきな。」
ネコさんからハンカチを受け取り涙を拭き取った。

木田「…。ネコさん紅には優しいんだね、まさかぁ?ネコさん紅のこと…モガッ」
ネコさんが物凄い形相でねーさんの口を塞いだ。

紅「私が何だ?ねーさん?ねこさん、気になるから話してもらえないだろうか。」
ねこさんは首を左右に振り、話す気は無いと意思表示した。

木田「ムグムグ!プハッ。ネコさん我を殺す気か?ってか紅は鈍感かよ!」

紅「?確かに鋭くはないが。」

木田「ネコさん、この子めちゃ可愛いんですけど、助けて!」

神城「無理、でも救済してやんよ。」

ニコッと黒い笑みを浮かべるネコさん

木田「え?まさか?無理だって!無理!嫌ぁ!」

メシャッ

ねーさんが床にめり込んだ

神城「紅、おいで。あっちで食うぞ。」

私はコクンと頷き後を追った