レディースエンドジェントルメーン
本日はお忙しい中、誠に感謝いたします!
さて、今宵皆様にお見せ致しますは、血塗れの猫、ピエロ、人形、まだまだあるが、それはまだまだ言えぬ事です。

存分に笑ってくださいね!


では、血塗れの猫ブラッドキャットの登場となります!


やれやれ、五月蝿い司会者だな。
私の隣のおじさんが軽く愚痴をこぼした…ん?こぼしたのは愚痴だけでなくポップコーンまでもこぼしたらしい。

幕から出てきたのは黒い髪の細っそりした男性顔は遠すぎてよく見えない。
黒いティーシャツ、黒いジーパンで身を固めていた。

男性の目の前には真っ赤なりんごがひとつ小さなテーブルに乗っていた。
男性は、りんごを手に取ると、上に放り投げた。
一回、二回、三回…

三回目に投げた時りんごは五つに分かれて空を飛んだ。
ふわりと舞いながら落ちるりんご、落ちる音は遠くても聞こえた。

ピエロがりんごをまたテーブルに置き、スタスタと去っていった。

男性は、りんごに手を伸ばした…が、5メートル程離れているため手には出来なかった。
私以外のみんなは、りんごが取れずに苦戦していると思ったらしく、大声で笑い、罵倒した。

男性は、その笑いを待っていたかのようにりんごを自分の元に引き寄せる様に指を曲げたり伸ばしたりしていた。

スッと赤い点が男性の伸ばす手に移動した。
皆唖然として男性を見た、私は、糸で釣っているのかと思い上を見た、だが、糸は垂れ下がっていなかった。

私はまだ知らなかった、あの男性が血塗れの猫という名前の理由を。


さあ、皆様彼に盛大な拍手を!